汕頭刺繍と日本の着物-1

中国四千年の伝統の中で親から子へ代々培われた汕頭刺繍の魅力

刺繍の伝統はヨーロッパ、インド、中国、日本ともシルクロードを経て伝来している工芸であり、私たちの暮らしに彩をもたらす手仕事文化でもあります。その中で親から子へ代々継承されてきた中国の汕頭刺繍に注目してみましょう。一見地味ですがとても凝った仕事が格調高く上品な雰囲気を漂わせている刺繍といえます。見ているだけでも味わいや落着きを不思議と与えるオーラがあります。何点か代表的な逸品をお届けしたいと思います。
 汕頭刺繍のことを既にご存知の方も、今日初めて接する方も是非その魅力を教養・知識としてこころにとめてくだされば幸いです。

汕頭刺繍とは

汕頭とは中国広東省東部にある港町です。水の都として名高い蘇州とともに古くから刺繍の伝統のある地方で【蘇繍】・【汕頭】は中国の長い歴史の中で大変誇り高き伝統工芸といえます。
 特に汕頭刺繍は家族単位を重んじる中国の国柄から、親と子へ代々受け継がれ培われていく手仕事として鎮重されたものです。大事に手入れをして使い続ければハンカチといえどもこの刺繍を施したものは代々使い続けられ、いわば家の宝ともなるものです。
 そして、汕頭刺繍の素晴らしさを見事に表現した日本の着物。訪問着や袋帯に施された逸品は目を奪われます。

そこには人の手仕事の重みと汕頭刺繍の上品さそして日本の着物文化があいまってなんともいえない風格がただよいます。
 もともと中国の刺繍の歴史は三千年といわれています。漢族と少数民族の刺繍が出土され現在に伝わっているのですが、多くの種類があります。汕頭刺繍はこれらの歴史の中で家族のなかで培われた刺繍といえるでしょう。敷物、掛物とくに日本では推古天皇の時代、「天寿国曼荼羅繍帳」に代表される仏教に関連したものがその歴史がインドから中国シルクロードを経て日本に伝わる仏教伝来のルート同様、日本は仏繍がそのはじまりでした。

刺繍の成り立ちとして中世ヨーロッパでは上流階級の淑女たちの教養・たしなみとしてありました。中国汕頭刺繍は親子代々を受け継ぐ中国ならではの家族の絆の象徴といえます。